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録音では聞けない部分 [音楽の話題]

このところいくつかの室内楽の演奏を、テレビの録音で聞きましたが、結構気になることがありました。

室内楽ともなると、今は奏者一人にマイクを近く立てて録音したりしています。ところが、特に弦楽四重奏曲などでは、各奏者の音をミキシングするのと、全体を一対のステレオマイクで録音するのでは全く違った響きになります。もちろんバランスなどが異なるのは当然ですが、それだけではありません。昔、オーケストラの録音でも理想的なのは一対のステレオマイクで録音するのが一番音が良い、と言う人がいました。実際には、特にライブなどでは、そのマイクの位置が難しく、吊り下げた舞台のマイクではややバランスが異なることがあります。

パート毎のマイクで録音したものをミキシングすると、当然のことながらマイクの位置が異なるために、音の位相が変わってしまいます。もっとわかりやすく、大げさな例で言うと、響きを合わせるためにビブラートまでも合わせる場合があります。一対のマイクならビブラートが合ったそのままを録れます。しかし、マイクを別にすると、微妙にビブラートの山の位置が異なります。それによってミキシングすると非常に微妙にずれたビブラートの響きになってしまうのです。しかも通常は一つのマイクはその奏者だけでなく、別の奏者の音が弱くずれて入るので、ミクシングの場合にはエコーのように入ってしまうことになり、響きが全く異なるものになってしまうのです。

そういうこともあり、特に弦楽四重奏では全く本番と異なる響きになることが当然となるでしょう。ですから録音の響きは、本番の生演奏とは異なるものとなります。しかし、そのことを考慮しても、いわゆる響きの悪い弦楽四重奏団というのが案外多く存在しているのではないでしょうか。例えば、あちこちから集まって副業のように活動しているグループや、新しくできた四重奏団などは、たとえコンクール歴がすごいものであっても、あれってことになりがちです。当然と言えば当然ですが、定評のある弦楽四重奏団の録音を聞くと、録音でも全く音なる響きをしています。こういう老舗の四重奏団は絶対に本番の生演奏を聴きたいものです。彼らの響きは本当に素晴らしいものです。それは一朝一夕でできるようなものではありません。ですから、逆に言えば、若いグループや即席のグループで綺麗な響きになることはなくて当然なのでしょう。

アマチュアでも弦楽四重奏をして楽しむ人は多いと思いますが、是非、響きの美しさを求めてみたらいいと思います。特に最初や最後の和音から始めるといいと思います。大事なことはピッチをどうするかなどの音程よりも音量バランスです。そして、傾向としては、間違いなくチェロは音量が大きすぎるので、少し控えてもらうといいです。おっと、その前に、フォルテで不必要なものがないきれいな音を出す練習を十分にやっておきます。
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