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反射的動作の練習 [音楽の話題]

世界卓球で、日本選手と中国選手の試合は素晴らしいものでした。そのとき、ここぞ決め手というところに限ってミスが連続するなどがあったりしました。相手の球が普通と違う回転をしているなどもありますが、実は肝心あところのミスというものは多くのスポーツでよくあることです。このミスの仕組みについては、スポーツ科学でもよく知られていることではないかと思います。

人間の動作は、動作をやると決めて行う意識的動作よりも、動作そのものについて意識しな無意識的な反射的動作の方が正確で、しかも速いのです。このことを明らかにするために、アメリカの大学のある先生は、学生などを相手におもちゃのピストルで西部劇の早打ちゲームをしました。つまり、決闘の場で、ヒーローは向かい合った相手にいつでも好きな時に銃を抜いてよいと宣言します。そしてその結果はヒーローの方が早く抜いて撃つのです。ヒーローはそれだけ抜くのが速いのだと思えますが、速いことはもちろん速いのですが、実はそうではないのです。大学教授は実際に学生相手に同じことをして、その通り、一度も負けなかったのです。学生は撃とうとして抜くのですが、結果負けなのでした。大学教授は、相手が銃を抜こうとする最初の動きを見てから反射的動作として銃を抜いたのです。その方が速かったのです。

卓球に限らず、スポーツでは普段の繰り返し練習で反射的な無意識的動作を行なっていますが、しかし、試合ではここは決め手を出すぞと、ついうっかり意識的動作にしてしまうことで、ほんの少し正確さが劣ったり、動作が遅くなってしまいます。それによって決め手でミスをすることになります。調子のいい時のように、普段の練習通り意識せずに反射的動作をすれば成功します。練習では単に無意識の反射的動作の繰り返して無意するだけでなく、それが意識的動作にならないように、その時の意識のコントロールも練習する必要があります。

音楽以外の話が長くなりましたが、上記の話はスポーツだけでなく、楽器演奏でも同様です。私が書いた本の中で、演奏においての、この意識的動作と無意識的動作の話があります。おそらくこの話は私しか今の所は文字にしていないと思われますが、そういう練習方法自体は、いわゆる繰り返し練習として、既に行われています。ただ、練習のポイントの置き方、練習の捉え方は、異なっていることが多いと思います。繰り返し練習はまずはテクニックを安定させるために行いますが、その後も単に慣れるためや暗譜するためなどだけでなく、積極的に、無意識的動作にして正確さを上げるため、に繰り返し練習をするといいです。さらに、本番でこの部分をつい意識的動作にしてしまうことがあるので、この繰り返し練習では、無意識的動作を意識的動作にしないように、反射的動作するようにします。例えば前の音からの反射的動作、あるいは共演者の音に対する反射的動作、あるいはアルテの形を取ってからのは反射的動作なども可能でしょう。反射的練習のポイントは意識のコントロールの練習です。
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